2009年5月3日日曜日

ピアノ発表会

又しばらく投稿をサボっていましたが、昨日はピアニストの友人が収録している、生徒さんの発表会をお手伝いに行きました。写真が、ちょっと見づらいのですが、使用したマイクは、今や幻のガンマイク、ビクターMZ-1000とソニーのECM-979です。一般のガンマイクは、ロケや取材等の音声収録が目的なので余計な低域や高域は無く、音楽収録には向いていません。実際、オーディオテクニカのAT-815を所有していますが、EMG(外や悪条件下)使用でする事が多く、風等のノイズに強くするため、全く低域はカットされています。しかし、このMZ-1000は、低域も高域も良く伸びており、音楽収録にはもってこいの音質を誇ります。 しかも何故かプロ用機ブランド(本来BOSSがプロブランド)ではないビクター製です。残念ながら現在は生産終了で入手は不可能です。このマイクをメインにソニーのワンポイントマイクECM-979をテラーク収録法のように使って見ました。
普通ピアノの収録は、ピアノにマイクを左手(LOW)、右手(HIGH)とオンマイクで収録するのですが、発表会ということもあって、写真等の絵面が優先されピアノの傍にマイクを立てる事が許されなかったのです。最後部席にマイクを立てる条件下なので、かなり距離があり、客席のノイズが多く入ります。そこでこのガンマイクの登場になったわけです。しかし、このマイク1本ではモノラルになってしまいます。そこでソニーのワンポイントマイクで左右の雰囲気をブレンドしてステレオ感を出します。
この方式は、レコード収録の時代オーケストラ等の収録で話題になったテラークの方式です。オーケストラのように楽器が多い収録の場合、去れぞれにマイクを立てるマルチマイクでは、大掛かりになり、位相の問題や隣接している他の楽器の干渉は避けられません。そこで、ワンポイント収録が多いのですが、一般のホールのように天上から下げる釣りマイクでは、余りにも近すぎ雰囲気まで収録するのは、不可能なのです。そこでオーケストラから客席方向へ10m~20m離れた場所にマイクを立てて収録するのですが、中央の定位がぼやけてしまいます。そこでマイク1本で全体の音を収録、ここに左右に立てたマイクでステレオの臨場感を追加する方式を考案したのです。


今回、使用したミキサーはスェーデンSATT社のポータブル4CHミキサーを使用しました。テラーク方式では、音源からかなり離れて収録するので、オーケストラのピアニッシモの時はかなり音が小さく、ミキサーのSN比が良くないと、サーノイズに埋もれてしまいます。このSATTは元々、映画やロケ用に設計されているので、SN比は抜群です。しかも、音質も優れているのです。何故かヨーロッパ、北欧系の機材は芸術的な音のセンスがあります。
普段、PAの仕事が多く、久しぶりの収録でしたが、心のゆとりと豊かさを音楽は人間に与えるものだと改めて実感して、この世界を仕事にして良かったと思いました。

0 件のコメント: