最近ではカセットによる音楽再生が、若者の間で流行って来ていると聞きます。
確かにデジタル再生機器の進歩は素晴らしく、ちょとしたアナログ機器では太刀打ちできないレベルなっています。
しかし、レコードも含め、アナログ機器の再生音の良さも捨てられません。
その中で手軽さの代表と言えば、やはりカセットですかね。
久しぶりにカセットを再生してみました。
幸いにしてSONYのカセットデッキK555ESが現役でいます。
カセットテープはテープを再生するので、内部でテープを巻き取るリールと送り出すリール、そして、再生用の磁気ヘッドに密着するテープを安定したスピードで送る
キャプスタンとピンチローラーが有ります。
このリール2つ、キャプスタンの回転スピードのバランスがとても重要で、どれも回転が狂ってはまともな再生が出来ないだけでなくテープが切れたり、絡まる、大変な事が起きます。
一般的なカセットデッキは、1つまたは2つのモーターで、この回転系を動かしています。
このSONYのK555ESは、其々の回転部分に独立したモーターを採用した3モーター駆動式です。
更にテープ用磁気ヘッドは消音、録音、再生と独立した
3ヘッド方式を採用しています。
内部のアンプ部にオーディオ用コンデンサーを使用していて、かなり音質を重要視した構成になっています。
このカセットデッキには、テープノイズを低滅させてS/Nを改善して、音のダイナミックレンジ広げるドルビーノイズリダクションと言うプロセッサーが内蔵されています。
ドルビーはカセットに録音する時と再生する時に使用する必要が有ります。
しかし、録音されたテープが古くなるにつれ減衰が起こり、ドルビーのリダクションが正常に動かず、再生音に支障をきたすようになります。
この様な場合、再生時のドルビーを使用しなければ良いのですが、録音時に賭けられたドルビーによる音質変化は免れません。
そこで、ドルビーリダクションの要である、ノイズリダクションコントロールとエキスパンダーコントロールを手動で調整出来るようにしてテープ再生をスムーズにできるコントロラーを製作しました。
入力信号のレベルで高域をカットする周波数とスロープが変化するフィルターでテープノイズを低減します。
低域、高域別にエキスパンダーをかけて、低域と高域のダイナミックレンジを改善します。中域はエキスパンダーをかけると息継ぎ現象が目立ち不自然になる為、かけません。
低域、高域のエキスパンダーはイコライザーで周波数別にかける事ができるため、必要な帯域のダイナミックレンジを調整できます。
全て、手動で調整する事で、録音されたテープを忠実に再生できるようになります。
実際、古い物では40年前に録音されたテープを再生してみました。
調整はシビアーですが、古いテープが素晴らしい音質で蘇ります。